足立雅也
あだちPCO コンサルティング
原因はわかりませんが,ときどき体の一部がかゆくなるというあなた。少しの時間,私と一緒に原因を考えてみませんか。これからお聞きする私の質問は返答に恥ずかしい内容が含まれていますので,決して声に出さずに頭の中で返答しながら読んでください。
それでは最初の質問です。「家にペットはいますか?ネズミは住み着いていませんか?鳥が巣を作っていませんか?」家にペットがいるあなた。屋外に連れ出すことのある犬や猫の場合,ノミが原因かもしれません。自宅,職場の内外のノミの駆除と,動物病院でノミの相談をしましょう。ネズミが住み着いている,または鳥が巣を作っているとお答えのあなた。かゆみの原因は,確かにダニかもしれません。
ネズミには「イエダニ」,鳥には「トリサシダニ」が外表に寄生していることがあります。そして,その動物を吸血して生きています。ときどき,宿主から落ちてしまうことがあり,徘徊しているうちに人が偶然的にくっつけてしまうことがあります。これら吸血ダニは,おなか周りだとか,太もものように,主に柔らかい部分を吸血します。イエダニやトリサシダニは市販のダニ用の殺虫剤で駆除できます。そして,ネズミや鳥の駆除と巣の除去をしましょう。
次の質問です。「部屋の清掃は週に1回くらいの頻度ですか?」このような質問をされるとドキッとする方もいらっしゃるでしょう。安心してください。全く掃除をしない方も週に1回の方もアウトです。2回以下とお答えのあなたは,屋内のホコリを採取して検査しましょう。3回以上とお答えのあなたは,かゆみの原因はダニではないかもしれません。他の原因も探ってみてください。
ここで知りたかったのは清掃の頻度です。以前何かしらの発表で,日本環境衛生センターの橋本知幸さんが,掃除機をかける頻度とダニの繁殖について,少なくとも3日に1回以上の掃除機をかける清掃でダニの繁殖を抑えることができる,とお話しされていました。ここでいうダニは主に「ヒョウヒダニ」や「コナダニ」を示しています。どちらの種類も吸血はしませんので,かゆみの原因ではありません。しかし,ヒョウヒダニやコナダニが増えると,それを捕食する「ツメダニ」も増えてきます。ツメダニは積極的に人を刺すわけではありませんが,偶発的に刺されたときには,皮膚が赤く丘状に膨らんでかゆみをもたらします。
続いての質問です。「ヒョウヒダニやコナダニは部屋のどこに多いと思いますか?」ホコリの溜まりやすいテレビやたんすの裏とお答えのあなた,おしいですが,そこよりももっと多くいる場所があります。それは寝具,ソファー,椅子,絨毯,たたみなど,人が滞在する時間の長い場所です。ヒョウヒダニやコナダニは,人や動物の体から落ちた皮膚の欠片やフケ,放置された食品を食べて生きています。滞在時間の長い場所の方がこれらのエサを得られやすいので,繁殖場所になりやすいのです。自宅だけでなく職場も同様です。ここまでをまとめましょう。かゆみをもたらすダニは,イエダニ,トリサシダニ,ツメダニで,吸血または偶発的に刺してきます。ダニの発生原因はネズミ,鳥との身近な生活。清掃頻度の低さでした。ダニ発生対策はネズミ,鳥の駆除と巣の除去。寝具などの掃除機かけでした。「かゆみ=ダニ」と限定するまえに,条件の照らし合わせとホコリの検査をしましょう。