発生してしまったカビの対策を行うより、まずはカビを発生させない保存環境を維持することが大切です。
では、どのようにしてカビの発生を抑えていけばいいのでしょうか。3つのポイントをあげてみました。
①温度の管理
カビが発生しやすい温度域は20~30℃です。温度が低いほうがいいと思い、冷凍や凍結保存をしてもカビは死滅しません。また、40℃以上になると発育はしなくなりますが、あまり温度を上げすぎると、保存してある書籍や資料に影響がでてしまいます。温度だけでカビをコントロールするのはとても難しいです。
②湿度の管理
じめじめした場所にカビが生える印象が強いですが、確かに水分はカビの発育に必要な条件ではあります。しかし、現在資料を保管してある場所がそんなにも高い湿度になっているのでしょうか。
一定期間、雨漏りや空調機故障等で湿度が上がってしまった場合、埃や手垢などの有機物を栄養にして急速にカビが発生することがあります。
・湿度90~100% クロカビ・アカカビ等
・湿度85~97% アオカビ・コウジカビ等
・湿度65~90% カワキコウジカビ・レストリクタス・コウジカビ等
図書館や美術館・博物館で発生しやすいカビは湿度65%くらいから発生するので湿度の管理は特に重要になります。
③環境の管理
・相対湿度を60%RH未満で管理する。
空調機や除湿器、扇風機やサーキュレーターを設置し空気を循環させ空気だまりを無くし部屋の角や棚の下など部分的に湿度が上昇するのを防ぐこと。
・カビの栄養源となる埃を清掃により除去することや、出入口に塵埃粘着マットを敷いて室内への埃の持ち込みを防ぐこと。
・書庫や収蔵庫へ立ち入りする場合に靴を履き替えること。
定期的に調査を行い小さな変化に気付くことが大きな被害を防ぐポイントになります。
いろいろな手法を組み合わせ、各館や施設にあった対策をとることが保存環境を守る上で重要です。
様々なお手伝いを文虫研は日々行っています。