文化財IPM 何でも質問箱

「カビ退治1」

 書庫で見つかったカビが付着していた書籍の他に、カビが広がっていないかよく調べましょう。カビであると判断された場合、関連部署からも人員を確保し総動員で手分けをして徹底的にどこでカビが発生しているか探すことが大切です。見落としがあった場合、またカビが復活して被害をもたらしてしまいます。この機会に点検・清掃・処理の一連の作業を集中して行うことが重要です。ただし、処理をしても今と同じ環境(温度・湿度・清掃の方法等)で保存をしていると、また同じようにカビが生えてきます。施設で働く方々の全員に環境改善の協力をしてもらいましょう。

■書籍のカビの処理「拭取り編」(書棚のクリーニングと並行して行います。)
 注意点

作業場所の湿度は65%RH以下ですか?超えている場所では湿度を下げてから作業をしてください。

服装を整えてください。カビの吸入や付着がないように必ずキャップ、マスク(防塵マスクとして販売されているタイプ(N95など))、ゴーグル、手袋(パウダーフリー)(使い捨てのニトリルゴム製の薄手の物(細かい作業に向く))、作業着(白衣・使い捨ての不織布製の上着等)、靴カバー等を使用します。

揮発性の高い消毒用アルコール(エタノール70~80%)を使用する場合、換気には十分注意してください。

カビにアレルギーのある方は作業をしないでください。

書籍を拭く場合、表紙等がアルコールで変色・変質をしないか十分に確かめる必要があります。(見えない箇所で確かめる)消毒用アルコールが可能か否かを見極めます。難しい場合は専門の担当者に相談します。アルコールについても、添加物が含まれていないものを使用します。

消毒用アルコールをペーパータオル(キムワイプなどのワイピングペーパー)に湿らせる程度に含ませ、奥から手前へ一方方向に拭き取ります。ペーパータオルは拭いた面は内側に折り込み、きれいな面を使います。一度使用したものは破棄します。

拭き取り作業が終わった後、使用したマスク・手袋等は付着したカビを落とさないよう外し、ゴミ袋に入れて破棄します。うがい・手洗いも忘れないようにしましょう。


 なお、書籍や文書等のカビの対処については当研究所から写真がたくさん載った詳しい本を発行しています。書籍のページへ