文化財IPM 何でも質問箱

「カビ?が生えている?!」

 夏場、書庫内の温度変化が気になって様子を見にいった。書庫内を久しぶりにLEDライトで点検をした。そんな時に書籍の背表紙などにしみのような黒っぽいものを見かけたことはありませんか?「まさか、カビ?」決して暑いわけでも、湿気っぽいわけでもなく、温湿度管理もしっかりしているはずなのに、数日前を振りかえると、新しい書籍を数冊収納した。1週間前に電気工事が入り全館で数時間、空調が止まっていたことがありました。また、部屋の担当者に話を聞くと、小さな虫を見かけたが、1匹だけだったので潰してしまい、全体への報告はしなかったということでした。もしかすると有名なカビを食べるチャタテムシだったかもしれません。
 まず、どうすればいいのか。書庫の責任者に連絡、保存環境担当に連絡、そして本当にカビかどうかの確認が必要になります。

生物被害調査・カビ払いなどをしている企業に問い合わせをし、調べてもらう。

文虫研に聞いてみる。カビの調査セットで調べてみては(25,000円(税抜き))と言われた。

 被害は書籍20冊程度にカビらしきものがあったので、まず隔離をした。酸素を通さない特殊なフィルムでできた袋に水分中立型の脱酸素剤と一緒に入れる。この状態にすれば低酸素濃度処理をしていることになり、カビであった場合に現状以上にカビが発育することを防げるのでおすすめらしい。
 今回は調査セットを購入。カビらしきものを採取し検査をしてもらった結果、写真付きの対策が記載された報告書が送られて来た。これはいい。しかし結果は、残念ながら「カビです」というものだった。

 次はどうすればいいの!?それはまた次のお題で。