数日前から空調の効きが悪い。今年も寒暖差の激しい日が続き、空調が悲鳴をあげているのでしょうか。その場合、わたしたちは、部屋を移動したり、団扇で扇いだり、飲み物を飲んだりと色々な対応ができます。しかし、収蔵庫や展示室の作品はどうでしょうか。じっと暑さに耐えて静かにしていることしかできません。と思っていたら、何やら白っぽい物が背表紙に付着している。一体何でしょうか。
カビが生えているのかもしれない!白くてほわほわしている。こんなものは、はたいて吹き飛ばしてしまいたい。と思われるかもしれませんが、そこはグッと我慢して。まずはカビかどうかの確認作業が重要です。LEDの懐中電灯で斜めから照らして見てみると、白いほわほわの先に何か粒状のものを観察することができるかもしれません。顔を近づけた時、変な臭いがするとか(カビかもしれません、吸い込まないようにしてください)、白い綿のようなものが日に日に広がっていないか写真を撮ったり、それでもわかりにくい時は、移動が可能な書籍であれば、前室のような場所に隔離し、文化財虫菌害研究所の調査セット【カビ】を使って調べてみるのもいいですね。
一定の期間、空調が止まってしまったことで、空調の設定値と温度計や湿度計に表示されている値に差が生じたときは、特に展示物や収蔵品に注意が必要です。結露によるカビの発生や乾燥によるひび割れなど重大な問題を起こすことが心配されます。
短時間・短期間の故障だからと安心せず、しっかりと空調の確認作業や被害調査を行ってください。その際にはカビの被害だけでなく、虫の死骸も見つけることができるかもしれませんね。