文化財IPM 何でも質問箱

「トラップを設置する!」

 前回からの続きです。では、実際に設置する場所の選び方のヒントです。


家の場合、玄関や勝手口など、外との出入り口付近に仕掛ける場合、美術館・博物館・資料館の場合は、エントランスホールの外から入ってくる虫に対して設置をします。また、外灯がついている場所やレストランなどの出入口・搬入口、職員通用門付近にも虫が多く見られるのでトラップ設置の一つのポイントになります。

家の場合、台所は多くの虫の餌場・水場・隠れ家・繁殖の場です。施設の場合は、レストラン・社員食堂・給湯室等がそこに当てはまるかもしれません。もし、レストランがない施設の場合は事務室の各自の引き出しの中、ちょっとしたお菓子が残っていませんか。こんなところも餌場や隠れ家になってしまいます。
もう一つのポイントになる場所として水場となるトイレも要注意箇所です。ただし、トラップが水で濡れないところに設置する必要があります。

家の場合、洋服が入っているタンスの中。館の場合は、展示室・収蔵室のような資料を保管している場所全体。ここには羊毛・皮・紙など特殊な材質を好んで食べる虫用のトラップが必要です。


 このように、どこにトラップを設置すればいいのかは、エリアを区切って考えることや、虫が飛んでいるのか、歩いているのか、何を好んで食べているのかなどを調べることが判断の材料になります。
 虫は壁際・床の端が好きな場合が多いです。暗いところが好きな虫もいます。明るい窓辺が好きな虫もいます。匂いがするところが好きな虫もいます。暖かいところが好きな虫もいます。発見された虫によって設置する場所を工夫することは大切です。
 仕掛ける枚数は6帖くらいに1枚で、虫が餌場・水場・隠れ家に発生している場合には2~3枚くらいで部屋の角から設置するといいと思います。
 敵を知る事でトラップを設置する場所が選びやすくなります。ぜひ、チャレンジしてみてください。