文化財IPM 何でも質問箱

「文化財IPMコーディネータって何をするの?」①

 文化財IPMコーディネータは、薬剤処理や環境調査の全てを自らが担当するわけではなく、施設全体の環境を把握し、それぞれの環境にあった最適な虫菌害の対処方法を選択し、資料などの保存環境を守る対策をとれる人であると考えています。
 では、「文化財IPMコーディネータ」はいったい何をコーディネートするのでしょう。
 コーディネートと言えば服装やインテリアの色や素材・形などが調和するように組み合わせることが頭に浮かびます。文化財の分野でのコーディネートとは「施設の各部署との連絡を調整し、全体をよりよくまとめる」ということが想定されます。
 たとえば、文化財IPMコーディネータ資格をもつ博物館・美術館等の学芸員の場合について考えてみます。
 
●虫・カビが発生してしまった場合に次のようなことができる人を想定しています。
①虫やカビのある程度知識があり判別ができること。
②被害が発生した場所の担当者と発生した状況の打合せを行うこと。
③被害が発生している材質が何であるかの見極めをすること。
④適切な防除会社等を選ぶこと。(防除の知識があり、材質や環境に対して最も適切な対応(薬剤等の選定)ができるところを選ぶこと。)
⑤文化財IPMコーディネータ、被害が発生した場所の担当者、防除会社等と被害箇所への対策について打合せを行い、事故の無いように迅速に進めること。
⑥被害事例を記録し保存する。施設内にそれらの情報を周知させること。