文化財IPM 何でも質問箱

「文化財IPMって何をするの?」

 ここ何年か急速に広まっている「文化財IPM」いったいどんなことを具体的にすればいいのでしょう。誰に聞いてもしっくりこない、取り掛かりにくい、結果が見えないなどの声が聞こえてきます。ではいったい「文化財IPM」とはどのようなことなのでしょう。
 IPMとは「Integrated  Pest  Management 総合的有害生物管理」と言います。何だか難しそうな言葉ですが、そんなことはないのです。
 色々な角度から文化財にとって有害になる虫など目に見える生物や、カビのような目に付きにくい生物にも注意をめぐらし温度・湿度などの空気環境の整備や掃除・整理整頓などの日常管理やトラップ調査・空気環境調査等による保存環境の整備、有害な生物が発生してしまった時の対処法、薬剤処理を行う場合の最適な薬剤選び等々、多種多様な管理方法があります。
 ただただ毎日、掃除をしたり、温度計をのぞき込んだり、こんなことでいいのかと思っている人がいるかもしれません。いいえ、毎日の温度や湿度の長期的な記録には、保存環境特有の個性が表れてきます。その個性を分析し環境にあった対応をすることこそが大切な文化財を守る一番の方法なのです。長い時間を生き抜いてきた文化財たちにこれからも静かな時間を過ごさせてください。その手助けをできる素晴らしいことそれが「文化財IPM」です。